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2012年3月28日 (水)

VT-52sAMP MKⅡの製作

①Nゲージのレイアウトが終わった途端、こんなものを持ち出してきました。

ふるい、平田TANGOの出力トランスは、H-5S。
ふるいけど、元箱入りの未使用品です。

H5s_at150es

バランス分割巻線方式により、周波数特性及び位相特性ともに高い周波数まで極端な起伏がありませんので・・・・
H5-Sはオリエントコアを使用していますので低域特性が優れています。
また、角型ケース入りですのでデザインの良いアンプが製作できます。
・・・と、メーカーでは謳っていますが、一体どんなアンプが出来上がるでしょうか。

品名:H5-S
出力:10W
1次zp:5KΩ
2次zs:0~4~8~16~32Ω
レスポンス:60Hz~80KHz(-2dB)
許容電流:DC65mA


②球が決まりました。

いろいろ迷いましたが、VT-52に決めました。
現在、自作JBLスピーカーをマルチで駆動していますが、低域・高域用AMPそれぞれを同じ球で鳴らすのが理想に近づける第一歩と考えたことと、更に6V6、6CA7、71A/112Aコンパチ、45/2A3コンパチ、VT-52AMPと、これまでに作ったAMPでVT-52が一番にいい音と思ったのが大きな理由です。

Tango_gs3518

いままで作った3極管AMPの写真を見て下さい。
いずれも向かって右側を電源部とし、左側を増幅部としています。

Vt52lineup1


③さて今度のAMPですが、電源トランスは既のVT-52と同じもので、けっこう大きいものを使います。
これに対して出力トランスは小振りですから、これまでと同じデザインにしたら右側の電源部だけが目立つようなので、中央に配置してみました。

Amp
仮置きの球は71Aですが、VT-52がソケットに収まったらこれ位の高さになるだろうと置いてみました。
ドライバー球は未だ決まっていませんが、6J5か、いつもの5693を検討中です。


④シャーシ本体は、ヤフオクでシャーシを出品されている方から特注で入手したもので、これまで使ってきたシリーズになります。
サイズは違いますが、天板のアルミ色とサイドウッドは、既に製作したVT-52と同じ仕様で作って頂きました。
写真のホール加工に使った工具は、電動ドリル(インパクト型)とホールソー、回転式サンドペーパーです。

Photo


⑤シャーシの加工が終わりました。
電源トランスを据えるところのくり切抜き加工は、写真の電動ジグソーで行いました。
このジグソーでの切り始めは、大き目のドリルで開けたホールから行います。

1


⑥シャーシの加工が終わりましたので、各部品を取り付けます。
ここで気をつけることは、小さいもの、軽いものを優先させることです。
理由は、トランスなどの重いものを先に取付けてしまうと、後の作業で不安定になったりして大事な部品にキズをつけたりします。

このページで特に見て欲しいところは、前作のVT-52シングルAMP同様に、真空管ソケットをテフロン製にしたことです。
テフロンの良いところは差込がシックリとしていて、接触が長期に渡って安定してくれると思っています。

Dscn1631s


⑦今回は重いトランス類の取付けになります。
重く大きい電源トランスを中央にしたことで重量バランスはもちろん、見た目のバランスもとても良いようです。
また電源スイッチですが、先のVT-52と同じように本体の後方にもってきました。
いずれ、バッファAMPか、簡単なプリAMPを製作した場合には、2台のメインAMPの電源はそのAMPから一括でコントロールしようと思っています。

Dscn1638s


⑧出力管に直熱型真空管を使う場合には、各真空管にそれぞれ専用のヒーター配線をしなければなりません。
その点、タンゴトランスGS-3518のヒーター用端子は、整流管用5V端子が1組、ドライバー管・出力管用6.3V端子が3組があってとても便利で、価格も手頃です。
もう少し価格を抑えたものには、ノグチトランスのPMC-170があります。

回路図はアップしていませんが、VT-52は直流点火でドライバー管(未定)は交流点火です。
VT-52のヒーターは、ブリッジ・ダイオードで整流し、10,000μFのコンデンサーで平滑しています。
特に降圧用抵抗は入れていませんが、ヒーター点火時の電圧は実測で6.45Vですから問題は無いでしょう。
ただこの電圧では、WEのVT-52にはやや低いようです。
S


⑨さて、今回はB電源の配線になります。
交流320Vを直熱型真空管で整流し、DALE200Ω10Wのメタルクラッド抵抗を介してからスプラグ10μFのコンデンサーでチョークトランスSC-5-150に入力します。
チョークOUT側はスプラグ40μFのコンデンサーで平滑し、OUTトランスH-5S、VT-52へと供給して電力増幅段の信号ループを完結させます。
次にドライブ殿には、DALE1.5KΩ2Wの抵抗を介してスプラグ20μFのコンデンサーに入力され、そこからDALE39KΩ2Wの抵抗を介して電圧増幅管に供給して信号ループを完結させるという具合です。
これまでは、電圧増幅段、電力増幅段ともそれぞれ左右単独で信号ループを完結させていましたが、今回はチャンネル・セパレーションに影響のない高域を担ってもらうAMPとして計画しましたので、各段とも左右共通としました。
Bs


⑩B電源の配線が終わったので、各パーツを取付けます。

音量調整用のVRは、手元に有ったAカーブの250KΩ2連型を並列(125KΩ)で使用しています。
ドライブ段にはいつもの5693(6SJ7)を使用しました。
今後、数十年?の使用を前提にしたら、予備球は同じものを多数手元に置いた方が便利で、無駄な出費も避けられるというケチな発想です。
この5693は3極管接続にし、プレートにはDALE39KΩ2Wの抵抗を背負わせています。
またカソード抵抗DALE1KΩ2Wのパスコンには68μFタンタル型を使いました。

カップリング・コンデンサーは、高域の再生に有利になればとタンタル型の0.1μFを使いました。

VT-52のヒーター・ハムバランサーは巻線B型50Ω3Wで、両端にリケノーム10Ω2Wを掴ませています。
また自己バイアスのカソード抵抗はDALE1.8KΩ10Wを使い、ここでも電流を絞って高域再生に有利になるようにしてみました。
S

はやる気持ちを抑えながら各部の電圧を測定し、異常が無いことを確認して早速と試聴です。
スピーカーからリプル音が出ています。
ハムバランサーを調整してハム音は抑えましたが、整流回路πフィルターのコンデンサーの容量が足りないようで、やはりリプルが残りました。
さて肝心の音ですが、前作のVT-52sAMPには敵わないものの、厚いと感じさせる音です。
また高域はスッキリとした感じですが、71Aとはまた違う線の太さがあるようです。
調整が終わった後で、前作のVT-52と71Aとで啼き比べをしてみます。

試聴後の計測で、残留ノイズはL・ch1.2mV、R・ch1.0mVとでました。
後日、調整を行います。


⑪部品の取付けも終わって早速と音出しを行ったわけですが、ジーという残留ノイズが両チャンネルに1~1.2mVほど乗って、いささか不満のある結果になりました。
この1~1.2mVの残留ノイズを分かり易く説明すると、98dBの高能率のD123フルレンジ・スピーカーから1mほど離れて、やっと聞こえると言った程度です。
極小音量の音楽を再生することで聴こえなくなりますが、それ以前にその結果が気になり、音楽どころでは有りません。

先ず手を掛けたのはπフィルターのコンデンサーです。
チョークトランス前の10μFはそのまま(整流管に優しい配慮)にして、後の40μFを80μFに交換しました。
これで、両チャンネルとも0.56~0.6mVまで下げることが出来ました。
このノイズ・レベルは、スピーカーに耳をくっつけた時にジー音が分かるくらいですから、どうにか納得できるAMPに仕上がった言えます。
S

前作のVT-52AMPの残留ノイズも計測してみました。
結果は0.28mVで、これ位になるとハムはもちろん、リプルのジー音も全く聴こえてきません。
71A/112AコンパチシングルAMP0.3mVを凌いでいます。
Vt52s


⑫整流管を交換することで音質が変わることは感じていましたが、AMPの残留ノイズも大きく変わります。

当初0.6mVであった前作VT-52sAMPの残留ノイズが、昨日の計測では0.28mVでした。
もしかしたらと、手持ちの80と5Z3の整流管全てを使って計測したところ、思ったとおり個々で残留ノイズが変わってしまうことが判りました。
それではと、昨日0.28mVの好成績を叩き出した整流管を、今回製作したVT-52sAMPMKⅡに差してみたところ、嬉しいことに0.48mVまで下がってくれました。
このことから、AMP本体のノイズの少なさでは前作のVT-52sAMPが優れていることがハッキリとしましたが、今回のVT-52sAMPMKⅡも、まあまあの出来に仕上がったと思います。
これ以上の結果を望むとしたら、配線の見直しも必要になってくるので、これで良しとします。
また、この残留ノイズですが、個々の出力管によっても違ってきます。
これらのことから残留ノイズに関しては、真空管を買った時点で運命は自ずと決まってしまったという事になります。
大枚を叩いて買ったWEのVT-52の2本ですが、嬉しいことにいずれもSylvaniaの4本を凌ぐ好結果に安心しています。

写真はL/chの周波数特性を計測しているところです。
S
この計測結果は次回に掲載します。


⑬マルチ駆動の高域用AMPが完成しました。

これが新型VT-52sAMPMKⅡの全容になります。
Vt52sampmks

AMPの周波数特性と残留ノイズです。
表中ではウェスタンエレクトリック製のVT-52と、シルバニア製のVT-52を比較できるようにしました。
このグラフを見る限りでは、ややカマボコ型の曲線までが瓜二つと言った両社ですが、出てくる音は全くの別物になるから不思議で、自分が納得する球探しの面白さになります。
このグラフに記入された電圧の1/100位の数値は殆んど勘です.
AMPはいつものようにNFBをかけていません。

さて本AMPの音の傾向です。
JBL132単体による同じシルバニア球を挿した前作VT-52sAMPとの音の比較では、音質では似ているものの、低域から中域にかけての音の厚みはやはり少ないです。
もっとも、音の厚さではトランスドライブに敵うハズはありませんが、それでも前々作のシルキーでふんわりとした45/2A3sAMPに比べると、明らかに厚くて力強い音です。
その辺が45スーパーと言われる所以なのでしょうか。
最後に高域専用とした場合ですが、075を71A/112AsAMPでドライブしていた時よりも音に強さが出て、スケール感が一段とアップしたように聴こえます。
S_3

VT-52sAMPMKⅡの回路図です。
Vt52mk

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